• 氏名：中川 沙織
• 所属：新潟薬科大学　薬学部
• 研究内容：コレステロール合成・吸収・代謝物の高感度定量法の開発とバイオマーカーなどへの臨床応用

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自己紹介

1999年新潟薬科大学薬学部卒業、2005年新潟大学大学院医歯学総合研究科修了博士（医学）取得、新潟薬科大学薬学部助手、助教、准教授を経て、2023年4月より新潟薬科大学　医療技術学部　臨床検査学科　教授として、現在に至る。専門は臨床分析化学でGC-MSやLC-MS/MSを用いた脂質、薬物、食品成分の分析。

研究の紹介と今後の抱負

　脂質異常症の中でもLDL-コレステロール血症においては、コレステロールのコントロールが重要であり、コレステロールは生体内の肝臓における生合成、食品の中のコレステロールの小腸からの吸収によって供給されます。このコレステロールは、オキシステロールを経て胆汁酸やステロイドホルモンなどに代謝されます。そのため、コレステロールの挙動を把握するには、コレステロール合成・吸収・代謝物の定量を行うことが重要です。これまでに、コレステロール合成・吸収・代謝物の定量法を開発し、その測定法を応用することで、バイオマーカーとしての有用性、薬物、食品由来成分の新しい作用を発見することができました。今後も引き続き、この開発した測定法を応用し、新しいバイオマーカーの発見などにつなげていきたいと考えております。
　この度の受賞に際し、臨床化学会の理事長先生、選考委員の先生方、学会の先生方に厚く御礼申し上げます。また、共同研究でお世話になっている先生方、一緒に実験を行っている研究室の研究補助員、大学院生、卒論生に心より感謝申し上げます。伝統ある日本臨床化学会の学術賞という栄誉を忘れずに、今後も精進し、微力ながら臨床化学の分野に貢献していきたいと思っております。引き続き、ご指導、ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします。

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• 氏名：工藤 海
• 所属：東海大学医学部基盤診療学系先端医療科学
• 研究内容：細胞外小胞リン脂質の新たな役割－sPLA2による加水分解と発揮される機能－

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自己紹介

2015年 弘前大学医学部保健学科検査技術科学専攻卒業
2015～2018年 弘前大学医学部附属病院医療技術部検査部門病理部配属(臨床検査技師・細胞検査士)
2018年 弘前大学大学院保健学研究科保健学専攻生体機能科学領域細胞分子生物科学分野修了(博士前期課程)
2022年 東海大学大学院医学研究科先端医科学専攻修了（博士(医学)）
2022～2023年 東海大学医学部奨励研究員
2023年～現在 一般社団法人AIM医学研究所リサーチフェロー

研究の紹介と今後の抱負

　この度は栄誉ある賞を賜りまして大変光栄に存じます。熱意ある指導をしてくださった幸谷愛先生をはじめ、共同研究者の先生方、ラボメンバー、学会・選考委員の先生方ならびに推薦頂いた東海大学医学部 後藤和人先生には厚く御礼申し上げます。
　本研究では、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫の腫瘍形成機序において、腫瘍由来細胞外小胞（EV）膜が腫瘍微小環境でリン脂質分解酵素「分泌性ホスホリパーゼA2」に加水分解されることで脂質メディエーターが産生され、EVの機能が飛躍的に向上、腫瘍形成が促進することが明らかとなりました。EVは取り込まれることで機能するというのが定説とされておりましたが、リン脂質修飾を介することで取り込まれずとも機能し得る、というこれまでのEV生物学にはない新規作動様式の存在が示唆されました。[Kudo et al. Cell Metabolism, 2022.]
　EVは臨床化学・臨床検査の領域においてはまだまだ認知度の低い分子ですが、がん以外にも様々な疾患・生命現象に影響を及ぼすことが知られており、世界的にもその注目度は高まる一方です。支えてくださる方々への感謝の気持ちを大切に、今後は様々な領域におけるEV脂質の機能の探求を通じて、臨床化学の発展に貢献できるよう励んでまいります。今後とも皆様のご指導を賜れますよう宜しくお願い申し上げます。

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• 氏名：徳原 康哲
• 所属：香川県立保健医療大学　保健医療学部
• 研究内容：新規トリプトファン発色法の考案

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自己紹介

2008年 大阪大学医学部保健学科検査技術科学専攻卒業
2010年 大阪大学大学院医学系研究科保健学専攻博士前期課程修了
2017年 大阪大学大学院医学系研究科保健学専攻博士後期課程修了、博士（保健学）取得
2010年 東京大学医学部附属病院検査部 臨床検査技師
2014年 香川県立保健医療大学保健医療学部臨床検査学科 助教
2016年 愛媛県立医療技術大学保健科学部臨床検査学科 講師
2021年 香川県立保健医療大学保健医療学部臨床検査学科 准教授（現職）

研究の紹介と今後の抱負

　この度は名誉ある日本臨床化学会「奨励賞」にご選出いただき、大変光栄に存じます。学会ならびに選考委員会の先生方、研究にご協力いただいた先生方に厚く御礼申し上げます。
　トリプトファンは、食物中に含まれる必須アミノ酸の一種であり、生命維持に欠かせない栄養素です。体内に吸収されたトリプトファンは、肝臓や脳をはじめ、種々の臓器においてキヌレニン・セロトニン・メラトニンに代謝されます。そして、エネルギー産生、神経機能、睡眠、さらに免疫応答といった生命活動に関与します。これらのことから、トリプトファンの体内濃度の変動を観察することは重要と考えられていますが、生体試料中のトリプトファン濃度を定量する簡便な臨床検査法は未だ確立されていないのが現状です。
　本研究では、各病院の検査室に設置されている生化学自動分析装置を用いて簡易・迅速にトリプトファン濃度を測定する新規臨床検査法の確立を目的とし、今回は、酸化剤を用いてトリプトファンを発色させ検出する新たな方法に関する基礎的検討を行いました。今後も、臨床化学の発展に貢献できるよう精進してまいりますので、何卒ご指導・ご鞭撻の程よろしくお願い申し上げます。

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• 企業名：富士レビオ株式会社
• 業績概要：尿中プロスタグランジンE2主要代謝産物（PGE-MUM）の全自動・化学発光酵素免疫測定用試薬「ルミパルスプレスト PGE-MUM」の開発

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会社紹介

　この度は栄誉ある日本臨床化学会学会賞　技術賞を賜り、誠に光栄に存じます。学会代表理事、学術集会長、選考委員会の先生方をはじめ、本試薬の開発にご協力いただいた先生方、開発チームの仲間たちに、心より感謝申し上げます。
　富士レビオ株式会社は H.U.グループの一員として、「ヘルスケアにおける新しい価値の創造を通じて、人々の健康と医療の未来に貢献する」という経営理念に則り、臨床検査試薬、分析システムの開発に取り組んでいます。私たちは技術的に難しいとされていたことにも挑戦し、臨床有用性の高い製品を提供することで医療へ貢献できるよう、これからも努めてまいります。

研究の紹介と今後の抱負

　私たちは今回、難病である潰瘍性大腸炎の病態把握のための新規バイオマーカーを開発しました。同疾患は炎症性の疾患であるため、炎症の促進・抑制に関わるメディエーターであるプロスタグランジンE2がバイオマーカーの候補として挙げられていましたが、一方でこの物質は血中で速やかに代謝されるため、測定が難しいという課題がありました。そこで私たちは、プロスタグランジンE2の尿中主要代謝物（PGE-MUM）に着目し、これを全自動で正確に測定する試薬「ルミパルスプレスト PGE-MUM」を開発しました。PGE-MUMはプロスタグランジンE2と比較し非常に安定した物質であり、さらに本試薬では、尿検体をアルカリ前処理することで、尿中で経時的に変換・生成されるPGE-MUMの脱水物についても、PGE-MUMと併せて測定することが可能となっています。
　本試薬は検体の前処理を含め全自動にて30分程度で測定が可能であり、迅速・簡便にPGE-MUMを測定できます。また測定に使用する尿検体は非侵襲的かつ簡便に採取でき、さらに病院においても容易に採取できることから、難病を抱える患者さんの検査における肉体的・心理的負担が軽減されることを期待しています。我々は今後も医療現場におけるニーズに対し、固定観念にとらわれない先進的な技術開発により、新たな価値を生む試薬を提供することで、応えていきたいと考えています。

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• 氏名：高井 雅之
• 所属：株式会社シノテスト　R&Dセンター
• 論文名：Establishment of a novel ELISA system for measuring periostin independently of formation of the IgA complex

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自己紹介

2007年東京農工大学大学院農学府応用生命科学専攻修了, 同年株式会社シノテスト研究開発部(現R&Dセンター)入社, 2017年佐賀大学大学院医学系研究科医科学専攻博士課程入学(社会人大学院生), 2022年同大学医学系研究科医科学専攻博士課程修了, 医学博士取得, 現在も株式会社シノテストR&Dセンターにて主任研究員として在職。

研究の紹介と今後の抱負

　この度は、日本臨床化学会の論文賞に選出していただき誠に光栄に存じます。学会ならびに選考委員会の先生方、関係者の方々に厚く御礼申し上げます。
　本論文の内容は私の博士課程研究であり、指導教員の出原賢治教授、共著の先生方、関係者の方々に多くのご助言をいただきました。心より深謝いたします。
ペリオスチンはアレルギー疾患や線維化疾患など様々な疾患の病態形成に関与しており、血清バイオマーカーとして期待されているタンパク質です。近年、私たちは血清中のペリオスチンがIgAとジスルフィド結合を介して複合体を形成していることを報告いたしました。
　本研究では、ペリオスチンとIgAの結合が既存ELISA系(SS18A×SS17B)のSS18A抗体との親和性を低下させることにより、測定値を低下させていることを見出しました。さらに、IgAの結合による親和性の変化が少ないSS16A抗体を代用することで、より正確な血清ペリオスチン濃度を測定可能な新規ELISA系(SS16A×SS17B)を構築いたしました。今後は新規ELISA系を用いたペリオスチン測定値の臨床的意義が明らかになることを期待いたします。
　今後も臨床化学および医療に貢献できるよう研究に邁進してまいりますので、ご指導、ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします。

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