• 氏名：渡邉 幹夫
• 所属：大阪大学大学院医学系研究科
• 研究内容：臨床検査へのゲノム・エピゲノム情報の応用

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自己紹介

大阪大学医学部卒業、同大学院医学研究科修了。大阪大学医学部保健学科検査技術科学専攻助手・助教を経て、2012年より大阪大学大学院医学系研究科保健学専攻准教授。同研究科附属ツインリサーチセンター准教授を兼任。

研究の紹介と今後の抱負

　このたびは平成30年度日本臨床化学会学術賞として選考いただき、ありがとうございます。
　私は大学院で臨床検査診断学を専攻して以来、ずっと臨床検査分野の教育・研究に携わってまいりました。この間、疾患の予後予測検査の開発プロジェクトに参画し、分子遺伝学的アプローチで新しい臨床検査となるターゲットを探索してきました。その過程でツインリサーチに出会い、現在はエピゲノム因子を解析するための最も厳密なヒト環境である一卵性双生児を対象として、ゲノム・エピゲノム因子を臨床検査に適用するための研究をしております。その結果、特定の遺伝背景でのみ臨床検査値などの表現型に影響を及ぼすエピゲノム因子がいくつも見出されてきています。いずれは、これらの研究成果を基に、それぞれの個体の遺伝的背景に応じた個別化臨床検査が実現し、あるいは、エピゲノム情報そのものが臨床検査として、さらには治療ターゲットとして利用される時代が来ると思われます。
　ツインリサーチは臨床検査に限らず、表現型として表せるヒトのすべての営みを対象として環境因子研究が可能な手法です。新しい臨床検査への発展を主な目標に、ツインリサーチの特性を活かしたさまざまな分野で今後も研究に取り組んでまいります。

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• 氏名：佐藤　亮
• 所属：東京慈恵会医科大学附属柏病院
• 研究内容：アンジオテンシンⅡ刺激による血管内皮細胞におけるMMP2mRNA発現量の変化とAGTR2の発現

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自己紹介

2002年北里大学医療衛生学部卒。2002年東京慈恵会医科大学附属病院に臨床検査技師として入職。2008年東京慈恵会医科大学附属柏病院に異動、現在に至る。2011年千葉大学大学院医学薬学府修士課程修了、2018年東京慈恵会医科大学大学院医学研究科医学系専攻博士課程修了、博士（医学）取得。

研究紹介と今後の抱負

この度は名誉ある日本臨床化学会「奨励賞」にご選出いただき、大変光栄に存じます。選考委員会の先生方、本学会の諸先生方に厚く御礼申し上げます。ご推薦及びご指導くださいました吉田博教授（東京慈恵会医科大学）ならびに共著者の先生方に深く感謝申し上げます。
Matrix metalloproteinase（MMP）は、血管細胞から分泌され、細胞外マトリックスのタンパク質を分解する酵素であり、MMP-2を含むMMP分子は、心血管疾患（CVD）の進展中のアテローム性動脈硬化症プラークの不安定化およびプラークの破綻に関与します。CVD進行に関連するAngiotensinⅡ（Ang-Ⅱ）は、アテローム性動脈硬化症および心肥大における心血管リモデリングに関与すると考えられています。本研究では、Ang-Ⅱ受容体阻害薬がAng-Ⅱ誘導性のMMP-2分泌変化に及ぼす影響を検討し、血管内皮細胞においてAng-Ⅱ受容体タイプ2（AGTR2）を介してMMP-2が増強することを解明しました。
今後も、予知・予測バイオマーカーであるMMP-2をはじめ、多様なバイオマーカーの病態生理・メカニズムについて細胞実験などから解明していき、臨床化学の発展に貢献できるよう、より一層精進したいと考えております。先生方のご指導・ご鞭撻を何卒よろしくお願い申し上げます。

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• 氏名：中野 恵一
• 所属：北海道大学病院
• 研究内容：マクロトロポニンⅠによるトロポニンⅠ・トロポニンＴの乖離に関する検討

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自己紹介

2009年北海道大学医学部保健学科卒業、2011年3月北海道大学大学院保健科学院修士課程修了。同年4月北海道大学病院検査・輸血部に臨床検査技師として入職し、生化学検査室・一般検査室に配属。

研究の紹介と今後の抱負

この度は名誉ある2018年日本臨床化学会「奨励賞」にご選出頂き、大変光栄に存じております。学会ならびに選考委員会の諸先生方、関係者の皆様に厚く御礼申し上げます。
私は日常の臨床検査の中からトロポニンIとトロポニンTが乖離した症例に遭遇し、本研究がスタートしました。本症例はトロポニンIとIgGが血中で結合したマクロトロポニンIを形成し、クリアランスの低下が起因となって、乖離が起こっていました。
本症例を経験し、日常検査の中でどれ程の割合で乖離が起こっているのかをretrospectiveに検討したところ、10%程度乖離していることが明らかとなり、トロポニンを指標とした診断の問題点を提起することができました。このようなピットフォールは日常の臨床検査の場面で遭遇することがあり、問題を認識し、原因を特定していくことが大切だと感じております。
今後、正しい検査結果の解釈につながるような取り組みを続けていきたいと考えております。栄えある賞の名に恥じぬよう、臨床化学会の発展に寄与できるよう精進していく所存であります。何卒ご指導のほど宜しくお願い申し上げます。

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• 企業名：アボットジャパン株式会社
• 代表者：ビジネスエクセレンス　学術部　師田かおり
• 業績概要：AKIバイオマーカー尿中NGALの開発と臨床応用

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左から：佐藤しのぶ、中屋美保、師田かおり、森和隆

会社紹介

この度は日本臨床化学会学会賞(技術賞)を頂き、誠に光栄に存じます。代表理事、学術集会長、ご推薦賜りました先生方、本試薬の研究開発ならびに保険適用におきましてご指導いただきました先生方に心より感謝申し上げます。アボットは、健康の力を通して人々が最高の人生を送ることができるよう注力しています。皆様とご家族、地域の方々が無限の可能性に満ちた、より健康な生活を送れるよう、革新的な診断薬・機器、医療機器、栄養剤製品の開発を行っています。

研究の紹介と今後の抱負

尿中好中球ゼラチナーゼ結合性リポカリン (neutrophil gelatinase associated lipocalin：NGAL)は急性腎障害 (acute kidney injury：AKI)のバイオマーカーです。AKIの早期診断、腎前性AKIと腎性AKIの鑑別、AKIの重症度と予後予測に有用です。集中治療室に入室した成人患者を対象とした国内臨床性能試験では、血清クレアチニン値の1週間以内の上昇を基準としたAKI診断において、AKI発症群の入室時の尿中NGAL値は非発症群と比較して有意に高値を示しました。尿中NGAL測定試薬は2017年2月に保険適用されて以降、救急集中治療領域・腎臓内科・循環器内科等を中心に臨床応用されています。今後、尿中NGAL値を指標の一つとしてAKI患者に対する治療方針が決定されることで、入院期間やICU在室期間の短縮、腎予後や生命予後の改善、医療資源の効率的な配分や医療費の削減に寄与することが期待されます。

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• 企業名：株式会社LSIメディエンス
• 代表者：学術部学術1グループ　依田尚文
• 業績概要：CLEIA法による敗血症マーカー「プレセプシン」の迅速測定法の開発

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会社紹介

このたびは日本臨床化学会技術賞受賞の栄誉をいただき、誠に光栄に存じます。代表理事、学術集会長、選考委員会の先生方に厚く御礼申し上げます。株式会社LSIメディエンスは、三菱ケミカルホールディングスグループ傘下の（株）生命科学インスティテュート（LSII）の一員であり、診断薬事業に加え、臨床検査事業、創薬支援事業を推進しております。来たる2020年の東京オリンピック・パラリンピックにおいては、ドーピング検査を担当いたします。「メディカル」と「サイエンス」を融合させ、皆様の健康や安全への願いに応えてまいります。

研究内容と今後の抱負

プレセプシンは、日本で発見され臨床意義が見いだされた新しい敗血症バイオマーカーです。今回技術賞をいただいたパスファーストpresepsin試薬は、操作が簡単なPOCT試薬でありながら診断に必要な高感度を実現しました。17分で測定値が得られることから、早期診断が重要な敗血症の診療に大きく貢献し、現在日本を含めておよそ40か国でご使用いただいております。ご要望にお応えして、本邦では中央検査室向けのステイシアpresepsin試薬も発売いたしました。今後とも、日本発のマーカーを世界に広めるべく、様々な観点での臨床研究を推進し、プレセプシン測定の有用性をご紹介していきたいと考えております。

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• 企業名：株式会社シノテスト
• 代表者：R&Dセンター　免疫・遺伝子ユニット　津田友秀
• 業績概要：プロテインS比活性測定方法と測定試薬の開発

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左から金 秀日，芳村 一，津田友秀

会社紹介

このたびは技術賞という栄誉ある賞を賜り，誠に光栄に存じます。私共の技術を高くご評価いただいた学会代表理事，学術集会長ならびに選考委員の先生方に心より感謝申し上げます。
シノテストは1951年に世界に先駆けて臨床検査薬キットの製造販売を開始した会社です。
1986年には日本で初めて液状試薬の開発と製品化に成功し，生化学検査の分野ではトップ企業に数えられる地位を築くことができました。現在は，生化学分野はもとより免疫学検査や遺伝子検査分野へ研究開発の幅を広げ，臨床検査を通じて社会に貢献しております。

研究の紹介と今後の抱負

私共は「血栓性素因診断システムの開発」の一環として従来よりも性能の良いプロテインS測定試薬の開発に取り組んでまいりました。日本人には「プロテインS徳島」というプロテインSの機能低下を伴う遺伝子変異が55人に1人という高頻度で存在し，その変異保因者は静脈血栓塞栓症を発症する危険性が高くなることが明らかになりました。新たに開発した総プロテインS測定試薬とプロテインS比活性検査は，日常の検体検査で「プロテインS徳島」などの遺伝子異常をスクリーニングできる画期的な検査です。この検査が医療の現場に普及し，血栓症の予防や診断・治療に活用されることを切望しております。

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• 企業名：富士レビオ株式会社
• 代表者：CL試薬新規開発部 試薬設計2課長　小島 哲
• 業績概要：非競合法による25-OHビタミンD測定試薬「ルミパルス25-OHビタミンD」の開発

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会社紹介

この度は栄誉ある日本臨床化学会学会賞 技術賞を賜り、誠に光栄に存じます。選考いただきました、日本臨床化学会代表理事、第58回学術集会会長、選考委員会の先生方に厚く御礼申し上げます。
富士レビオ株式会社では「人の命を尊び、人の健康を守ることに自覚と責任をもち、新しい価値の創造を通じて世界の医療に貢献する」という理念に則り、臨床検査試薬、分析システムの開発に取り組んでいます。私たちは新規測定技術開発を通じてより良い診断を可能とする製品を提供していきます。

研究の紹介と今後の抱負

低分子化応物の免疫測定には、競合法に基づく測定試薬が一般的ですが、私たちは25-OHビタミンDに対する抗メタタイプ抗体を樹立することで、特異性、再現性等において高い性能を示す非競合法による25-OHビタミンD測定試薬「ルミパルス25-OHビタミンD」を開発しました。非競合法に基づく低分子化合物の免疫測定は、測定対象物の濃度に依存してシグナルが増大するため、競合法に比して感度、特異性、再現性等において優位となることが期待されます。また、測定範囲の拡大にも有用です。私たちは本試薬の開発で培った技術をもとに、他の低分子マーカーに対しても非競合法による高精度の測定試薬の開発を進めてまいります。また、固定概念にとらわれない先進的な技術開発により、新たな価値を生む試薬を提供することで世界の医療に貢献できるよう努めます。

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• 氏名：末廣 寛
• 所属：山口大学大学院医学系研究科
• 論文名：Highly sensitive stool DNA testing of Fusobacterium nucleatum as a marker for detection of colorectal tumours in a Japanese population

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自己紹介

1993年山口大学医学部医学科卒、1993年4月より山口大学医学部附属病院産婦人科にて勤務、2001年4月より山口大学医学部臨床検査医学講座助手、2001年山口大学大学院医学研究課程修了、2002年4月～2004年3月MD Anderson Cancer Center文部省在学研究員、2007年4月より山口大学大学院医学系研究科　臨床検査・腫瘍学講座講師、2011年4月より同准教授（現職）。学位は博士（医学）、専門は遺伝子検査。

研究の紹介と今後の抱負

この度は2018年度論文賞にご選出いただき、心より感謝申し上げます。腸内細菌の一種であるFusobacterium nucleatum(Fn)が大腸がんの発生に関与していることが様々な研究グループから報告されています。この知見から、我々は便中のFn菌量を測定することで大腸がんの診断ができるのではないかと考え、今回論文賞の受賞対象となった研究を実施しました。本論文では、便中Fn 量が大腸がんの診断に有用であるだけでなく、前がん病変の診断にも有用であることを世界で初めて報告しました。今後も大腸がんの早期診断に役立つ検査法の研究開発を通じて、臨床化学の発展に貢献して参りますので、日本臨床化学会の先生方のご指導・ご鞭撻を何卒よろしくお願い申し上げます。

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• 氏名：森 恵理子
• 所属：東京大学病院
• 論文名：Existence of a squamous cell carcinoma antigen-immunoglobulin complex causes a deviation between squamous cell carcinoma antigen concentrations determined using two different immunoassays: first report of squamous cell carcinoma antigen coupling with immunoglobulin A

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自己紹介

2011年、名古屋大学医学部保健学科卒業。2013年、名古屋大学大学院医学系研究科博士前期課程修了。同年4月より東京大学医学部附属病院検査部に臨床検査技師として入職。

研究の紹介と今後の抱負

この度は、日本臨床化学会論文賞にご選出いただき誠にありがとうございます。学会ならびに選考委員会の先生方、そして研究及び論文執筆にご指導くださいました先生方に心より感謝申し上げます。
本論文は、扁平上皮癌関連抗原（SCCA）の測定キットの性能を検討した際、原理の異なる２つのイムノアッセイ間で測定値が乖離した3症例に遭遇したため、それらの乖離原因を解析しました。そして、3症例ではSCCAとIgGが、さらにそのうち1例ではIgAもSCCAと複合体を形成していることを明らかにしました。
今後も日々の臨床検査の業務の中で遭遇する不思議な症例や疑問に感じた点について検討し、臨床検査の現場から発信していきたいと思います。

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• アークレイマーケティング株式会社
• ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社

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